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着物のシミ抜きで失敗しないために

ご家庭でのシミ抜きには限界があります。
ここでは、ご家庭でもできる着物に
付いたシミへの対応法について
考えてみたいと思います。

ご家庭で出来るメンテナンスサポート。

ご家庭で着物のシミ抜きを行うことを
当店ではお勧め出来ません。
シミを落とすつもりが、かえって
悪い状態になることが多いからです。

パーティやお茶会で着物にシミが
付いてしまったら、、

きっと驚かれますよね。

でも、そんな時は慌てずに乾いたハンカチや
タオルで着物に付いたシミを軽く押さえ、
水気やシミの成分を吸い取って下さい。

拭くというより、軽く押さえる程度で
十分です。

湿ったおしぼりを使ったり、ドライヤーで
乾かしたりするのは絶対にやめて下さい。

おしぼりや濡れたハンカチでシミを 拭いてしまうと、、

水を使うことでシミが広がったり、繊維の
奥まで浸透して落ちにくくなるります。

濡れたタオルで着物を擦られ、直せなく
なるほど生地をスレさせてしまった事例を
よく見かけます。

シミに熱を加えるのはNGです。

ドライヤーで乾かすと、熱によって
シミが固着してしまい、
落ちにくくなってしまいます。

着物に付いたシミの水分や成分を、
乾いたハンカチやタオルに吸い取らせる。
(拭くというより、軽く押さえて吸い取る)

着物の生地に残留するシミの成分が
少なくなるだけで、後々のシミ落としが、
ずいぶん楽になります。

あとは1日でも早く、着物のシミ抜きを
専門の業者にご依頼下さい。

汗ジミや、着物に付いたカビに関しては、
別にブログを用意しておりますので
そちらを見て頂けると有難いです。

プロの仕事について

経験がないことは、対処方法が
分からないということです。

経験と実践がプロを育てています。

着物のケア、メンテナンスに
従事する技術者は着物の染めや加工、
修繕に使用する薬品や機材について
熟知しています。

ベテラン職人の下で長い期間、教えを受けて
着物のケア、メンテナンスに関する訓練を
受けてきたからです。

思わぬ落とし穴?

おしぼりは水気を含んでいるので、
乾いたハンカチのようにシミを
吸ってくれません。

水で濡らしても、吸い取る訳ではないので、
薄まることは、あってもシミの範囲を
大きくするだけです。

また、シミに熱を加えると
落ちにくくなります。

経験がないということ

考えてみると当たり前のことですが、
大切な着物にシミがついてしまった時、
多くの皆さんが、慌てて間違った行動を
起こしておられます。

洗濯のできる普段着と違い、
着物のシミ落としを経験された方は
少ないと思います。

どうしたら良いのか分かりませんし、
加減も分かりません。
何をしてはいけないのか?
知識も経験もありません。

他にも注意すべき点はい、いくつもあります。

着物の染料はとても繊細です。

着物の染色に使われる染料は洋服等の
染料より、とてもデリケートな染料が
使われています。

家庭用の洗剤などで洗ったりすると、
色が泣き出したり脱色してしまったりします。

もちろん、洗濯機で洗うなんてことは、
もってのほかです。

浴衣のように簡単には扱えないのです。

シミ落としにもセオリーがあります。

着物のシミ抜きは、早く落とせば
早く落とすほど、綺麗にシミを落とす
ことができます。

着物のシミ抜きは1日でも早く。

着物のシミ抜き全体にいえることですが
まず、どんなシミでも早く落とせば
早く落とすほど、綺麗にシミを落とす
ことができます。

また、落とせる成分は、出来る限り薄く
していくことが重要です。

シミに熱を加えることは、限られた条件以外では
避けるべきだと考えます。

シミを落としにくくなるからです。

ドライクリーニングでは水性のシミを 落とすことはできません。

一般的に行われるドライクリーニングでは
水性のシミを落とすことはできません。

水性のシミも除去してもらえるように依頼して
おかないと、シミが残ったままで
アイロン仕上げをかけられてしまう
ことになります。

シミ抜き前のテストが重要です。

着物の修繕は事故の原因を明らかにする
ことから始まります。

修繕方針の決定と、お客様への提案の要。

着物のシミ落としを、ご家庭で行うことには
リスクが伴います。

シミや汚れが落ちないばかりか、よけいに
酷い状態になってしまうことも
少なくありません。

プロはどのように着物のシミ落としを
行っているのでしょうか?

標準的な着物のシミ落としのプロセスを
ご紹介していきます。

着物の修繕の第一歩は?

着物の修繕は、まず、どんな問題が
起こっているのか?を確認することから
始まります。

それと同時に、着物の生地、染め、加工に
対して選べる修繕の方法を考えていきます。

問題の原因の特定と、生地、染め、加工を
正しく理解しておかないと適切な修繕が
出来ません。

着物についたシミ、汚れには固有の特徴が
あります。

硬かったり、特徴のある色をしていたり、
油性のシミ、水溶性のシミ。

それぞれ固有の特徴というものがあるので、
その特徴から判断して、問題の特定を
行っていきます。

お客様からの情報も重要な手がかり。

どのようなシミが、いつついたのかを、
お客様がご存じの場合は、それを伺うこと
になります。

問診によって、問題の再発を避けるための
アドバイスにつながることもあります。

プロによる着物相談を賢く使いましょう。

皆さん、ご存じかもしれませんが、
プロによる着物相談は無料で
受けられるお店が、たくさんあります。

賢く使って、綺麗に着物を
維持しましょう。

業者との話し合いは、皆様が賢く、
割安に着物を維持していく為に役立ちます。

大切な着物のことを理解する機会として
生かして下さい。

見立てと施術と。

人間のお医者様と同じで、私達は
着物の診断を重視します。

間違った方法で加工を行なわないよう、
シミに対して最適の修繕を施せるよう、
現状の理解に努めます。

試験をしなくても分かるような、
シミや汚れもありますが、着物の特徴や、
染みの特徴を十分に理解した上で、
修繕にあたることはプロとして欠かしては
ならない姿勢だと思います。

以上のような点に留意している業者なら
見当違いな修繕を行われることは
ないだろうと思います。

相手の力量を理解できれば、安心して
大切な着物を任せることも出来ますよね。

修繕事故を起こさないためにも、、

修繕ミスを起こさないためにも、
試験を行っておくことは大切です。

試験で良好な結果や、生地に問題が
起こらなかった場合にのみ、
問題となっている症状を取り除く
作業にかかります。

これだけ注意して作業を進めていても
生地が弱っていることを見逃すことが
あります。

着物に非破壊検査を行えるわけでは
ないので、どうしても生地を傷めてしまう
ケースも出てきます。

少しでも見落としを少なくする為にも、
試験は欠かせません。

試験で良い結果が得られた場合でも、
全ての問題個所に加工を施すことも
行いません。

少しづつ作業を行っていくことで、
大きな修繕ミスを避けられるからです。

修繕に伴うリスクマネージメントも
技術者が養うべき能力の一つだと思います。

着物への理解を深めて頂くということ。

試験を行うことで、シミを落とすことが
可能なのか?

生地が弱っていた場合、シミ落としや
漂白以外の選択肢はあるのか?

を判断した上で、最終的な提案を
お客様にさせて頂きます。

プロがどのように仕事を進めていくのか?
を理解しておくことで、着物の修繕を
任せられる相手なのかどうか?
も見えてくるのではないかと思います。

また、シミや汚れや変色のこと。
その修繕に、どれくらいリスクが生じる
ことになるのか?

このことを正しく理解して頂くことで
着物をご愛用下さる皆様に、着物の
管理法を学び、早期のケア、メンテナンス
がいかに大切であるかを知って頂く
ことで、皆さんの着物に対する意識は
格段に向上すると思います。

そのことが、着物を綺麗に、末永く
次代、次々代まで着物が受け継がれていく
源泉となっていきます。

まとめ

着物のシミ落としの基本について
お話していきます。

・着物の生地に着いた付着物は、
洗浄または分解により取り除きます。

繊維の奥の方まで染みついた付着物を
浮き立たせ、引き離します。

漂白ではなく中性洗剤や酵素等による
分解と申し上げた方が分かりやすい
かもしれませんね。

テレビのコマーシャルなどで、
よく見かけるフレーズですね。

はじめに遊離、分解という方法を
とるのには訳があります。

経験則によるものですが、
付着物によっては色素を伴うもの
もありますし、時間の経過に伴い
硬くなり、水気を弾くものもあります。

無理に除去しようとすると、
シミが落ちないばかりか、生地に負担を
かけてしまいます。

着物の生地から取り除けるものは、
少しでも取り除く。

少しでもシミを薄くしてから
違う手法と組み合わせる。

着物のシミ落としのセオリーを守って
作業した方が仕上がり具合が
断然に良くなる。
そんなふうに思います。

・着いている付着物によっては使用する
薬品も変わっていきます。

ワインやコーヒーなど天然由来の色素を
持つものと、タンパクや脂肪分を
持つシミとでは行う加工もかなり違います。

同じようにマジックペンやボールペン、
あるいはインクやボンドなどの接着剤など、
一口にシミ落としといっても、シミの性質は
シミの数だけあると言っていいかもしれません。

ただ一つ、共通項として付着物を柔らかく
して分解、遊離させるという生地に優しい
選択から始め、、どうしても落ちにくい
芯の部分だけ効き目の強い薬剤の使用を行う。

こういった方法のほうが、シミが綺麗に落ちる
ように思います。

残念なことに効き目の強い薬品は、
効力は高いのですが生地を傷める可能性も
高いのです。

だからこそ生地に優しい薬品により
下処理を行ってからの方が着物を傷めずに
綺麗にシミを落とせるのだと思います。

捕捉になりますが、最終的には修繕で
熱を加えるような加工を行うこともあります。
ただし、はじめは熱を加えない修繕方法から。

そして他の選択肢がない場合については加熱も行う。
一般的に考えると、このような傾向がると思います。